お盆の時期

お盆は伝統的に旧暦七月十五日にあたる中元節に祝われました。現在は、東京など都市部では、七月十三日を『迎え盆』お盆の入りとして、十六日『送り盆』までの四日間、ほか全国的には八月十五日を中心とした月遅れの盆が一般的です。

お盆の準備

お盆はご先祖様や亡くなった人たちの霊が、1年に一度家に戻ってくるといわれております。各家ではその霊をお迎えするため、『迎え盆』の十三日の朝にはお仏壇をきれいにし、精霊棚を設けてきました。また、近年では住環境の変化から省スペースで飾り付けする方も増えてまいりました。

ここでは、従来ながらの精霊棚の準備から、省スペースでの飾り付け法までご紹介させていただきます。 こちらを参考にお盆飾りをしてみてはいかがですか?

本格的!精霊棚を作って、ご先祖様をお迎えしよう

精霊棚は迎え火を焚く前に、お仏壇の前や縁先などに飾ります。

精霊棚作りのポイント

●棚は台の上に真菰莚(マコモムシロ)を敷き、壇を作ります。 真菰莚のかわりに白い布などでもかまいません。

●棚の上奥中央にご先祖様のお位牌を安置します。また、お仏壇より香炉・燭台・花立て・リンを机の上に移します。

●迎え団子十三個、お皿に盛って供えます。

●ナスとキュウリを賽の目に切り、洗い米を混ぜたものを蓮の葉に盛り付けた『ミズノコ』と呼ばれるものを供えます。

●おがら(麻の皮をはいだ茎)か割り箸で4本の足をつけた”なす”の牛や”きゅうり”の馬などを飾ります。この動物にご先祖様が乗ってくるということで作られていますが、十三日は内側に向け、十六日にはご先祖様がまた乗って帰るということから外側に向けておきます。

●そのほか、香・華・灯明・浄水・盛物・果物・野菜・そうめん・餅・団子・故人のすきだった物などをお供えください。

省スペースでもお盆飾りしてみませんか?

マンション住まいでスペースがないから、仏間・和室もないしお盆のお飾りは場所をとるからと、お盆のお飾りを敬遠されていませんか?
近年では家具調のコンパクトな仏壇をお買い求めの方も増えてきたため、お盆飾りもシンプルにコンパクトになさる方もいらっしゃいます。ここではコンパクトなお仏壇を中心としたお飾りをご紹介いたします。

省スペースでのお盆飾りのポイント

●お仏壇を中心に、両サイドに卓上タイプのコンパクトな提灯を配置します。コンパクトな卓上提灯はデザインもかわいらしいものが多いので選ぶのが楽しいのもうれしいですね。

●高さの合うテーブルや台などがあれば、そちらに花やお供え物、なすの牛やきゅうりの馬などをお供えします。

●丁度いいテーブルなどがない場合は、膳引きを引出し、こちらに飾り付けましょう。

ご先祖様のお迎えとご供養の仕方

ご先祖様が帰路に迷わぬよう、迎え火を焚きましょう

精霊棚の準備やお盆飾りが整ったら、お墓参りへ。本来、迎え火は墓前で焚き、その火を持って自宅まで先祖の霊を導くという意味がありましたが現在ではほとんどの家が墓地から離れているため、 自宅の門前にて迎え火のおがらを焚いて、ご先祖の霊が家に戻ってくるために迷わないよう道を明るくしてお迎えします。

マンションなど門前で迎え火を焚くのがはばかれる場合は、お部屋で迎え火を焚く形だけでも良いですし、お仏壇のロウソクを灯すだけでもいいでしょう。
また、盆提灯や盆灯籠はご先祖様の霊を家にお迎えする際の目安となるので、お盆期間中は仏前に飾っておきましょう。

ご先祖様の霊にお供えを欠かさずに

ご先祖様の霊が家に戻りましたら、一般的には、十四日・十五日の朝昼晩の三回、仏前に食事やお水をお供えしましょう。また、線香や灯明も欠かさず灯し、ご家族で手を合わせ、ご先祖様と共に過ごしましょう。

送り火を焚いてご先祖様をお送りします

十六日の夕方(地方によっては十五日夕方)に迎え火を焚いた場所と同じ場所で送り火を焚き、ご先祖様の霊をお送りします。この後もう一度お墓参りをしますが、近くにお墓がない場合など送り火だけですますこともあります。京都の大文字焼きも送り火の一種です。
ご先祖様の霊をお送りしたのち、お供えなどは川や海に流します。

地域によっては『精霊流し』『灯籠流し』として大々的に行うこともありますが、近年では川や海の汚染問題から焼却せざるをえないところが多くなっています。
※十分なスペースが取れない都会などでは、防災上の問題もあるため、火は灯さずに送り火を焚く形だけでもされ、ご先祖様をお送りしましょう。

お盆の供養の仕方は上の通りですが、これらの行事をすべてやらなくてはいけないのが”お盆のおつとめ”ではなく、大切なのは年に一回家に戻られるご先祖様の霊をお迎えし、ともに時間を過ごすことです。

ご先祖様が家に帰ってきているからこそ、お盆の期間お仏壇に火を灯し、お供えを欠かさないということだけでもお盆のおつとめになります。是非良いお盆をお迎えください。

新盆を迎える方へ

新盆とは『四十九日の忌明けの後、初めて迎えるお盆のことを言います。

新盆の御供養は、親族や故人と親しかった知人などをお招きしお寺様に読経をしてもらい、仏様の御供養の意味で参加者全員で食事をするなど、特にていねいに行います。
※故人の忌明けより前にお盆を迎えた場合は、その年でなく翌年が新盆となります。

新盆を迎えるに当たり、新盆の際に使用するお迎え用の白い盆提灯をご用意し、親族の方やお中元などで頂いた絵柄付きの盆提灯もお部屋に飾り付けてください。

●新盆の盆提灯はなぜ白か?
古来より、亡くなった方がはじめて家に戻られる”新盆”には真っ白な提灯で霊をお迎えしたいという心や、初めて帰ってくる故人の霊が迷わないための目印として使用されてきました。

●新盆用の盆提灯は一度きり?
新盆用の真っ白な盆提灯は、新盆の時一度きりになります。以前は、新盆が終わりましたら送り火と一緒に焼いたり、菩提寺様にご処分頂きましたが、近年では防災上の点からも、提灯の一部だけ燃やし、あとはゴミとして処分してしまうことが一般的になっています。



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