初めてお仏壇をお迎えされる方は、「何をどこに置けばいいの?」と迷うことも多いかもしれません。
この記事では、ご本尊様の安置方法から、三具足・五具足といった仏具の正しい配置、お花やお香の供え方、日々のお参り作法まで、初心者の方にも分かりやすく、写真や図解を交えて解説します。
基本のルールを押さえて、心を込めてお仏壇を整えていきましょう。
阿弥陀如来を中心とした、浄土真宗の理想的なお飾りの形です。
お浄土の美しさを家庭内に再現することで、日々の暮らしに穏やかな時間が生まれます。
浄土真宗のお仏壇
他の宗派と大きく異なる点として、浄土真宗ではご先祖を象徴する「位牌(いはい)」を原則として用いないことが挙げられます。
これは、亡くなった方はすぐに阿弥陀如来のお力によってお浄土へ仏として往生される(即得往生)と考えるためです。お仏壇の中央には、お位牌の代わりに本尊である阿弥陀如来をおまつりします。
故人の法名を記すものとして、伝統的には「過去帳(かこちょう)」や「法名軸(ほうみょうじく)」が用いられてきました。一方で近年は、こうした形式にこだわらず「お位牌」をおつくりする場合もあります。
また、浄土真宗でも地域や宗派(真宗高田派など)によっては、お位牌を用いることもありますので、菩提寺にご相談ください。
お位牌を置く場合も、あくまでご本尊様が中心となるよう、お仏壇の中段や下段に安置するのが一般的です。
これは、ご先祖様を直接拝むのではなく、すべての人を分け隔てなく救ってくださる阿弥陀如来をご本尊として中心にお迎えするという、浄土真宗の教えに基づいています。
そのため、お仏壇は単にご先祖様を祀る場所ではなく、阿弥陀如来のいらっしゃる「お浄土」を家庭内に再現した空間とされています。このようなお仏壇は「お内仏(おないぶつ)」と呼ばれることもあります。
伝統的に金箔を多く使った「金仏壇」が多いのも、お浄土の荘厳(しょうごん:美しく飾ること)を表現しているためです。
もちろん、現代ではリビングに合わせた「唐木仏壇」や「モダン仏壇(家具調仏壇)」を選ばれるご家庭も増えていますが、飾り方の根本的な考え方は変わりません。
🙏 <1>本尊(阿弥陀如来)の重要性と安置位置
浄土真宗では、掛軸をご本尊としてお迎えするのが基本です。
中央に阿弥陀如来、その左右に親鸞聖人と蓮如上人の掛軸を掛ける三幅(さんぷく)一揃いの形式を「三幅対(さんぷくつい)」と呼びます。
中央のご本尊(阿弥陀如来)を両脇の掛軸よりも一段高く安置します。こうすることで、教えの中心がどこにあるかが明確になり、全体のバランスも美しく整います。
- 中央:阿弥陀如来(あみだにょらい)
ご本尊であり、私たちの救いの中心です。 - 向かって右:親鸞聖人(しんらんしょうにん)
浄土真宗の宗祖。阿弥陀如来の本願の教えを私たちに明らかにされた方です。 - 向かって左:蓮如上人(れんにょしょうにん)
親鸞聖人の教えを再び広く民衆に伝え、浄土真宗を再興された「中興の祖」です。
★お役立ちアイテム:掛軸台(かけじくだい)
ご本尊様の掛け軸を少し高くし、三幅のバランスを整えるのは難しい場合があります。そのような時に便利なのが専用の「掛軸台」です。ピンを刺さずに高さ調整ができ、綺麗に設置できます。
🕯️ <2> 浄土真宗における仏具の特徴
浄土真宗における仏具の特徴は、お仏壇の中に飾る「お飾り用」の仏具と、お参りする人が実際に使用する「お参り用(実用)」の仏具の、2セットを置くのが正式なお飾り方法とされている点です。

① お飾り用の仏具(仏様用)
お仏壇の中(ご本尊の前、須弥壇(しゅみだん)の上など)に配置される仏具です。
仏様の世界(お浄土)を荘厳(しょうごん:美しく飾る)するためのもので、私たちが直接使うことはありません。
宗派(派)によって、色やデザインが異なります。
● 浄土真宗本願寺派(お西):
黒色や宣徳色(こげ茶に近い色味)に彫刻が施されたデザインが用いられます。
● 真宗大谷派(お東):
金色で、特に火立(燭台)に鶴亀の飾りが施されたデザインが一般的です。
🕯 飾りろうそくについて🕯
仏様用のお飾りでは、燭台にお供えするろうそくの代わりに、木製や朱塗りの疑似ろうそくを置くことがあります。これは、仏様用の火立(燭台)はお仏壇の中に飾るため、実際に火を灯すとお仏壇が燃えてしまう恐れがあり、火を点けて使用することがないからです。
② お参り用(実用)の仏具
私たちが実際にお参りするために使う仏具で、通常はお仏壇の最下段や、その手前の「膳引き(ぜんびき)」の上に配置します。
私たちがお花を供え、お香を焚き、ろうそくに火を灯すために使用します。
<配置>
日常は「三具足」──左:花立、中:香炉、右:燭台の形で並べます。法要のときは「五具足」の形式になります。
香炉の前に花立を少し手前に出すなど、立体感を意識するとより美しく見えます。季節ごとの花を添えると、お仏壇全体がいっそう温かみのある印象になります。

1.花立(はなたて):お花の供え方

お花は、仏様の「慈悲(じひ)」や「智慧(ちえ)」の美しさを象徴する、大切なお供え物です。仏様に捧げるものですから、季節を感じさせる清らかな生花(せいか)をお供えするのが最も望ましいとされています。
美しい花は仏様の徳を讃え、やがて枯れていく姿は、私たちに命の尊さや「諸行無常(しょぎょうむじょう)」の理(ことわり)を静かに伝えてくれます。
ご事情により生花のお手入れが難しい場合は、造花をお供えすることもありますが、浄土真宗では原則として造花は用いません。また宗派によっては、金色の蓮の花をかたどった「常花(じょうか)」という仏具を花立にお供えすることがあります。これは「浄土に常に咲き続ける花」を意味します。しかし浄土真宗では、この常花も原則として用いず、生花をお供えするのが基本です。
2.香炉(こうろ):お香(お線香)の供え方

浄土真宗では、お飾りで実際に使用する香炉として、青磁製の「土香炉(どこうろ)」を用います。この土香炉は、宗派によってデザインが異なります。
丸みを帯びた形の「玉香炉」
「透かし香炉」が用いられます
香炉は、仏壇の最下段の膳引き(ぜんびき)の上で、三具足や五具足の中央に配置し、お線香を寝かせて使用します。
※多くの宗派では、お線香を香炉の灰に「立てて」お供えしますが、浄土真宗では、お線香を適当な長さ(香炉の幅に収まる程度)に折り、火をつけた後、香炉の灰の上に「横に寝かせて」お供えします。
(これは、お浄土ではすぐに往生できるため、線香が燃え尽きるのを待つ必要がない、という意味合いが込められているとも言われます。宗派(大谷派など)によって作法が異なる場合がありますので、ご不安な場合は菩提寺にご相談ください。)
浄土真宗ならではの「寝かせ線香」。香炉の大きさに合わせてお線香を折り、灰の上にそっと横たえます。煙が均一に上がり、お仏壇の中を清らかな香りで満たしてくれます。

3.燭台(しょくだい):ろうそくの供え方

ろうそくの光(灯明:とうみょう)は、阿弥陀如来の智慧(ちえ)の光であり、私たちの煩悩(ぼんのう)や迷いといった「無明(むみょう)の闇」を照らし、真実の道を示してくださる光とされています。
火を消す際は、息で吹き消さず、手であおぐか、専用の「火消し」を使います。これは、人間の息は不浄なものと考えられているためです。
お仏壇の形式や大きさにもよりますが、左右どちらか一方に置く場合(三具足)もあれば、一対(いっつい)として両側に置く場合(「五具足(ごぐそく)」※の場合など)もあります。どちらの形でも構いません。
※五具足:花立一対、香炉一つ、燭台一対を置く、より正式な飾り方です。
★お役立ちアイテム:火消し
ローソクを消す際は、息で吹き消すのではなく、専用の「火消し」をご使用ください。三善堂オンラインショップにてお取り扱いしています。
🌸 <4> 打敷(うちしき)

お正月やお盆、年忌法要といった大切な行事の際には、お仏壇の卓(つくえ)などに「打敷(うちしき)」(内敷とも書きます)と呼ばれる布製の荘厳具(しょうごんぐ:お仏壇を美しく飾るもの)を掛けることがあります。
浄土真宗では、主に「逆三角形」の形をした打敷が用いられます。ご本山の宗紋(しゅうもん)が入ったものや、鳳凰(ほうおう)や蓮(はす)などの絵柄が刺繍された、豪華な打敷もあります。
💡 使い方と時期
打敷は、基本的に毎日使用するものではなく、年忌法要やお正月、春秋のお彼岸、お盆などの特別な行事の際に用います。素材やデザインによって、夏用(絽〈ろ〉や紗〈しゃ〉などの涼しげなもの)と、冬用(金襴〈きんらん〉など)に分かれているのが一般的です。季節に合わせて使い分けるのが正式な使い方です。
また、ご家族が亡くなられてから四十九日までの間(忌中)にお飾りする場合は、打敷を裏返して白い面を表にするか、白無地のものを用いる慣習があります。
📖経本の置き方について
お寺から授与された経本や、日々のお参りで使う経本は、お仏壇の中に飾る(置く)ものではありません。普段は、経机(きょうづくえ)やお仏壇の下段にある引き出しに収納しておき、お参りの際に取り出して使用します。おりん(りん)の下に敷いたり、お仏壇の上に置いたりするのは避け、敬意をもって丁寧に扱いましょう。
お参りや日々の読経(どきょう)のために
本文では、お寺から授与された経本の扱い方を紹介しましたが、ご自身でお参りの際に使用する経本や、浄土真宗の教えに触れるためのお経の本をお探しの方もいらっしゃるかと思います。
日常のお勤め(お経)でよく使われる経本には、以下のようなものがあります。(宗派によって異なりますのでご注意ください)
経本(きょうほん)
経本のお求めはこちらからどうぞ。宗派に合わせてお選びください。
🗂️ <3>お位牌・過去帳・法名軸の配置

前述の通り、浄土真宗では、亡くなった方は阿弥陀如来の力によってすぐにお浄土へ仏として往生される(即得往生)と考えられているため、原則として「位牌」は用いられませんでした。故人の法名(ほうみょう:戒名にあたるもの)や俗名、命日などを記すものとして、伝統的な形では「過去帳(かこちょう)」や「法名軸(ほうみょうじく)」が用いられます。
しかし近年は、こうした形式にこだわらず、他の宗派と同じようにお位牌を置かれるご家庭も非常に多くなっています。
お祀りの仕方は、以下の通りです:
- <お位牌を置く場合>
ご本尊や脇侍(掛軸)よりも下の段に安置し、ご本尊が隠れないように配慮します。 - <過去帳>
お仏壇の中段や下段の見やすい場所(見台に乗せて)に置きます。 - <法名軸>
お仏壇の側面の壁(内側)に掛けるのが一般的です。
✨ <4>お仏壇を美しく飾るコツ

お花や仏飯器が大きすぎると、最も大切なご本尊様が隠れてしまいます。これでは仏様との対面が妨げられてしまいます。

ご本尊様のお顔がしっかり拝見できるよう、手前の仏具は低めに、お花は横に広がるように整えるのがポイントです。
⚠️ 避けるべきNGポイント
故人が喉が渇くという考え方をしないため、お仏壇に水やお茶はお供えしません。
写真などは、ご本尊様よりも目立つ場所に飾るのは避け、別の場所に飾りましょう。
香炉の灰の上に「立てずに横に寝かせて」供えます。適当な長さに折ってから火をつけます。
☀ <5>毎日のお参りとお供え作法
🍚 朝一番の炊きたてのご飯をお供えします。
ご本尊のすぐ前にお供えするのが正式ですが、お仏壇のサイズに合わせて、心を込めて中央にお供えしましょう。
掃除と手入れのポイント
埃を払う際は、まずご本尊・掛軸を覆い、やわらかい布で優しく拭きましょう。
仏具は月に一度ほど乾拭きすると清潔に保てます。
日々のお手入れ
毛ばたきなどで、お仏壇のほこりを優しく払います。
大掃除の際などの特別なケア
仏具を取り出し、乾いた柔らかい布(専用のクロスなど)で優しく拭きます。
⚠注意点:
金箔や金粉が施されている部分は、絶対に手で直接触ったり、
強くこすったりしないでください。金箔が剥がれてしまいます。
掃除が難しい場合は、仏具店に相談しましょう。
📝 <6>初心者向けチェックリスト
✅ 配置チェック
- □ 本尊は最上段中央にありますか?
- □ 脇侍は本尊より低い位置ですか?
- □ 三具足の配置は合っていますか?
- □ 余計なものを置いていませんか?
- □ 過去帳などは適切な場所ですか?
✅ お供えチェック
- □ お花は枯れていませんか?
- □ 線香は横に寝かせていますか?
- □ 火の扱いは安全ですか?
- □ 本尊が隠れていませんか?
- □ お仏壇はきれいですか?
まとめ
浄土真宗のお仏壇の飾り方は、ご本尊である阿弥陀如来を中心とし、お浄土の荘厳さを表現することが基本です。他の宗派とは異なり、「位牌を原則用いない」「水やお茶を供えない」「線香を寝かせる」といった特徴があります。
しかし、最も大切なことは、形式にとらわれすぎず、「感謝と念仏の心」をもって日々お仏壇に向かい、阿弥陀如来とご先祖様への感謝の気持ちを持ってお参りすることです。
まずはできることから、少しずつ整えてみましょう。ご紹介した配置ルールやチェックリストを参考にしていただければ、初心者の方でも迷わずにお仏壇を整えることができます。
もし飾り方や作法でわからないことがあれば、遠慮なくお仏壇・仏具の専門店である私たち三善堂にご相談ください。















