お仏壇に飾る仏具は”真鍮”を用いたものが一般的ですが、その”真鍮”の加工法は古来より熟練の職人さんたちによって凝らされてきました。
その中の一つに『蝋型鋳造法(ろうがたちゅうぞうほう)』というものがあります。
これは、国の伝統工芸品にも指定されている技法のひとつ。
蜜蝋を使った蝋材で原型を造り、土に包んで高温で焼き、溶け出た蝋の代わりに金属を流し込んで造られます。
蝋は細工がしやすいので、繊細な細工を施すことが可能です。また、蝋が持つやさしい風合を鋳物の肌に移すことが出来るのも特徴の一つ。
複雑で美しいデザインだけど柔らかい印象の作品を生み出すことが出来ます。
ですが、蝋型鋳造法にもデメリットがあります。それは1つの型で1つの作品しか作れないことです。
1度の制作過程で、中の蝋型は完全に溶けてしまうので、二度と同じものを造ることが出来ないのです。
そんな希少性が高く美しい仏具が当店にもございます。
蓮の葉をモチーフとして作られた花立・火立・香炉・線差・マッチ消しからなる『蓮葉型五具足』です。
どれも大変緻密で美しいのですが、特に見ていただきたいのは『火立』!
金属とは思えない柔らかさを感じられるのはもちろんのこと、葉脈や少しの折れた葉の質感までも見事に表現しています。
ご来店いただきました際には、ぜひ実物をじっくりとご覧くださいませ。